柳 井 嗣 雄 個展 「発掘」 の記録

 

期 間 2019年 8月22日~9月15日

 1999年に練馬区立美術館で発表した「風化した世紀」は、「Last Great Tree」と「遺物」の頭像を一緒に展示した作品でした。
 「遺物」とは、20世紀に亡くなった、私にとって重要な20人の人物(ジョン・レノン、マザーテレサ、アンディ・ウォーホール、三島由紀夫など)の頭像のシリーズです。
 太古の地層から発掘されたように、穴だらけで色あせたその巨大な頭たちは金網の上に紙の繊維を漉き絡めて成型し、その後、一ヶ月天日干しされ自然の力で完成しました。
 彼らは単なる歴史的人物ではなく、現代の高速デジタル化社会の中で、すぐに色あせて薄れてしまう我々の記憶の死を暗示しています。
 つい最近亡くなった人物ですら、たちまち歴史上の遺物と化してしまう風潮を映し出しているのです。肉体性を伴わない情報や記憶と我々はどう対峙していくのでしょうか。
 今回、「遺物」立体20点(世紀末版)とあわせて、新たに平面20点(平成版)を完成し同時展示します。