達 和子 個展 - 繋ぐ - の記録

 

期 間 2020年 3月19日~4月5日


  作者コメント    達 和子
 作品発表から20年が過ぎモチーフとして取り組んで来た思いは「命」の継承です。
私は何故か描くたび・・支持体に向かうたび・・この枠の中から出たいと思います。このエネルギーが自分の作風になっています。

    線で紡ぐ生命の形象      
       美術評論家 清水 康友

 達 和子の作品から、イメージの基となった人体の動きや植物の育つ様の痕跡を探り出すのは、それ程困難ではない。
 実際に造形化された人の体や植物は、幾つもの作品に見い出せる。
 ただ人体や植物の形を追求するのが目的でない事は明白で、そこに宿る生命感の表出が重要なのである。
 多様な描画材を用いて、板や紙に自ら内奥に胚胎する情感や思念をストロークを生かした線で描きだす、しなやかさと強靭さを併せ持つ線は作者の思いを反映、あるいはそれと連動して有機的な形を創り出す。
 この自在な描線は予測しない形を生み出し、不確実さを孕む画面が思わぬ展開を見せ、増殖する形象は連続して振幅し、時に膨張する。この形象と形象とが互いの関係から”間”を生じた時、画面は一気に生命感に溢れるのである。
 達の創出する画面は様々に変容し、エロチックでありまたユーモラスであるが、一時として停滞することなく常に活発で新鮮である。それは自身が存在する現在を見詰め、感じた思いをダイレクトに線描するからであろう。
 変化し続ける作品は、彼女の内的世界の視覚化であり、それはWarmth of life(生命の温もり)の創造の軌跡に他ならないのである。