吉野祥太郎展 「呼吸する境界線」 

 

期 間 2020年 6月25日~7月12日


  作者は 1979 年生まれの造形作家で大学では彫刻を専攻し、ポーランド、オランダ、フランス、中之条ビエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭など国内外で多面的に活躍している気鋭のアーチスト。
 各地で土を持ち上げることにより土地の記憶を表出させるランドスケープアート、パフォーマンスを行い、最近はコンピューターを使い、音や光を取り入れた機械仕掛けの映像的インスタレーションの作品を積極的に発表している。
 今回は当館において二つのインスタレーションと立体造形作品を発表した。

・作者によるインスタレーションの紹介

(展示室 1)「不確かな境界線」(Unclear Boundary)
 街を歩いているときに様々の家にある庭木は その家々で特徴があるのだが、それらの特徴とその家の特徴は必ずしも結びつかない。
 その家の庭木を思い出すことはあってもその家の建物や主人は思い出せなかったり、またその逆も。自分たちの記憶は表に見えるものと裏に在るものを同時に捉えることはできない。
 やがてどちらかが強くなり、記憶はねじ曲がっていく。

(展示室 2)「記憶の揺らめき」(Waving Memories)
 ゆらゆらと揺れている水面に光が反射する情景は、とても神秘的で美しい。その光の揺らめきは見ていると、こちらに寄ってくる様でもあり、離れていく様でもあり、その場をただゆらゆらしているだけの様にも見える。
 しかしその水面の水はとても激しく動いているのである。
 そしてその中では様々な生き物がせわしなく動き回っている。
 表層で見えているものとその中で起こっていることは激しく違うことも多いだろう。
 その事実はあっちへ行くのかこっちに来るのか、しっかりと見極める必要がある。